「授業は真面目に受けているのに、定期テストの点数が伸びない」
シンガポール日本人学校に通うお子さんの保護者から、よくいただくご相談です。日本人学校は日本国内と同じ教科書・進度で学習を進めるため、一見すると国内の中学校と同じように見えます。実際、点数が伸び悩む原因の多くは、国内外を問わず共通するものです。ただし、語彙力の差や転校・編入による学習の空白期間など、海外在住ならではの要因が重なっているケースもあり、これを見落としたまま対策すると遠回りになります。
この記事では、日本人学校の定期テストについて以下の点を解説します。
- 点が取れない子に共通する3つの原因
- 科目別に見た、効果的な復習の進め方
- 定期テスト対策が進路にまで影響する理由
点が取れない子に共通する3つの原因
「勉強していないから点が取れない」というケースは、実は少数派です。多くは次の3パターンに当てはまります。
原因1:授業を「聞いている」だけで、定着の作業をしていない
最も多いのがこのパターンです。
授業中は板書を写し、説明も理解できている。しかしその後、自分で問題を解き直す作業をしていないため、テストで問われる形になった瞬間に手が止まります。「わかる」と「解ける」の間には大きな差があり、この差を埋める作業が家庭学習の役割です。
特に日本人学校では授業の進度が国内と同じペースで進むため、その日の内容を放置すると翌週にはもう次の単元に入っています。理解できていない状態で先へ先へと進んでしまうのが、点数が伸び悩む典型的な経路です。
原因2:テスト範囲の「出題形式」を把握していない
定期テストは、教科書の内容がそのまま問われるわけではありません。
学校ごと、先生ごとに出題の傾向があります。ワークからそのまま出す先生、応用問題を必ず入れる先生、記述の配点が高い先生など、傾向はさまざまです。この傾向を把握せずに「とりあえず教科書を読む」勉強をしていると、努力の方向がずれてしまいます。
過去の定期テストを分析し、どこに配点が集中しているかを把握してから対策を組むだけで、同じ勉強時間でも結果は変わります。
原因3:苦手単元をさかのぼって直していない
3つ目は、より根深い原因です。
数学の一次関数がわからない原因が、実は中1の比例・反比例の理解不足にあるというケースは頻繁にあります。この場合、いくら一次関数を練習しても点数は上がりません。
特に海外在住のご家庭では、転校や編入のタイミングで学習に空白期間が生じていることがあります。その空白がどこにあるのかを特定し、さかのぼって埋める作業が必要です。これは学校の授業だけでは対応が難しい部分です。
科目別の復習方法
原因を踏まえたうえで、科目別の対策を整理します。
数学:積み上げ型なので「どこから崩れたか」の特定が先
数学は前の単元の理解が次の単元の前提になるため、つまずいた地点を特定することが最優先です。
現在の単元がわからない場合、そのまま反復練習をするのではなく、一つ前・二つ前の単元に戻って確認してください。遠回りに見えますが、これが最短ルートです。定期テスト前の1〜2週間ではさかのぼる時間が取れないため、テストがない時期にこそ取り組むべき作業です。
国語:海外在住で最も差が出やすい科目
海外生活が長くなるほど、日本語の語彙力と読解力に差が出やすくなります。
日常会話は問題なくできていても、説明文や論説文を読み解く力、記述問題で自分の考えを整理して書く力は、意識的に鍛えないと伸びません。漢字と語彙は毎日少量でも継続すること、読解は週に1題でも「解いて解説を読む」サイクルを回すことが効果的です。
英語:シンガポールの環境が有利にならないケースもある
英語環境で暮らしているため英語が得意、というお子さんは多いですが、定期テストで問われるのは日本の教科書に沿った文法・語彙です。
「話せるのにテストの点が取れない」という現象は、この不一致から生じます。会話力とは別に、文法事項の整理と教科書レベルの語彙の暗記を進める必要があります。
理科・社会:暗記だけでは記述問題に対応できない
用語を覚えるだけでは、「なぜそうなるのか」を説明させる記述問題に対応できません。
用語を覚える際に「その用語が何を意味するのか」を自分の言葉で説明できる状態まで持っていくことが、記述問題での得点につながります。
テスト前3週間の進め方
原因と科目別の方針が整理できたら、次は時間の使い方です。
3週間前:範囲の確認と苦手の洗い出し
テスト範囲が発表されたら、まず全科目の範囲を一覧にしてください。
そのうえで、各範囲について「すでに解ける」「あやふや」「まったくわからない」の3段階で自己評価します。この作業を最初にやっておくと、限られた時間をどこに配分すべきかが見えます。多くの生徒はこの棚卸しをせずに、教科書の最初から順に勉強を始めてしまい、後半の範囲に手が回らないまま本番を迎えます。
2週間前:「あやふや」を優先的に潰す
得点の伸びしろが最も大きいのは、「あやふや」に分類した範囲です。
「まったくわからない」範囲は理解に時間がかかり、「すでに解ける」範囲は伸びしろがありません。あやふやな部分を確実にできる状態に変えることが、限られた時間で点数を上げる最も効率的な方法です。
1週間前:実戦形式の演習に切り替える
最後の1週間は、覚える作業から「テスト形式で解く」作業に切り替えます。
学校のワークや問題集を、時間を計って解いてください。インプットだけを続けていると、本番で問われる形になったときに対応できません。ここで間違えた問題は、当日までに必ず解き直しておきます。
早めの対策が進路を左右する理由
定期テストの成績は、単なる学校内の評価にとどまりません。
内申点として進路に影響する
日本の高校受験では、帰国生入試でも内申点が加味される場合があります。
つまり定期テストの積み上げが、そのまま進路の選択肢に影響します。「受験勉強は3年生から」と考えていると、1〜2年生の成績が足を引っ張る形になりかねません。
帰国後の編入時にも影響する
帰国のタイミングで日本の学校に編入する場合も、それまでの成績が判断材料になります。
進路の選択肢を狭めないためには、日々の定期テストを軽視しないことが重要です。
まとめ
定期テストの点数が伸びない原因は、勉強量ではなく勉強の方向にあることが多いです。
- 「わかる」で止まらず、自分で解き直す作業まで行う
- 学校・先生ごとの出題傾向を把握してから対策を組む
- つまずきの原因をさかのぼって特定し、根本から直す
- 国語は海外在住で最も差が出る科目なので、意識的に対策する
- テスト前は範囲の棚卸しをしてから、「あやふや」な範囲を優先的に潰す
- 定期テストの成績は内申点として進路に影響する
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